物愛護管理のあり方について(案)(「動物取扱業の適正化」を除く)に関する意見書

1、意見提出者名:

2、住所:〒

3、連絡先電話番号、FAX番号、メールアドレス: 

4、意見

.虐待の防止(P.1

虐待・遺棄についての定義が曖昧で、法律上明確にされない事から、虐待が行われてもほとんど捜査・立件されていないのが現状である。

犯罪の未然防止の為には、虐待・遺棄の定義を法律で可能な限り具体的に明示する必要がある。

(1)行政による保護等(P.1)

遺棄を含む虐待が発生した場合の通報先が明確でない為、専用の相談窓口を設置する必要がある。

24時間の体制をとれるのは警察しかない事から、警察内に動物遺棄虐待事件に精通する担当課を設けるとともに、各都道府県の動物愛護行政担当者及び、動物愛護推進員などと連携し、立入検査の実効性を確保すべきである。

動物愛護推進員は、公務員に準ずるような職務資格を有しておらず、立入り・監視指導や措置命令などの権限がない為、現在の職務資格の見直しも視野にいれる必要がある。

問題事例が集約出来るよう、対策本部を環境省に定め、各自治体は動物虐待行為が発生した場合は、速やかに環境省へ報告し、個々の事例に対応できる体制をとる。

ネグレストを含む虐待を受けている動物を発見した場合は、行政が保護しなければならないと改正すべきである。

動物取扱業者を含め動物の所有者が、立ち入り又は調査を拒否し妨げる場合は、裁判所の許可状等によって、迅速に動物の保護が出来るよう、法の改正を行うべきである。

動物愛護センターや保健所等の収容施設を、保護した動物のシェルターとして活用し、動物の世話などについては、動物愛護団体・ボランティアや動物愛護推進委員等との連携を図る体制を設ける。

虐待を行った者に対して、飼育禁止命令をかけられる仕組みを導入すべきである。

 (2)取り締まりの強化及び罰則規定の見直し(P.1)

取締りの強化と罰則の強化は犯罪の抑止に有効であると言えるが、虐待の定義が曖昧なため、警察や行政が対応しないケースが多く見られる。

虐待の防止と早期発見、積極的な摘発・処罰のためにも、曖昧な表現を具体的に定義づけする必要がある。

1.   愛護動物に給餌又は給水をせずに衰弱させること。

2.   愛護動物の病気や怪我の治療をせず放置すること。

3.   愛護動物を不潔な状態にする又は不衛生な環境で飼養すること。

4.   愛護動物の生命に支障をきたす又はその恐れのある環境で飼育すること。

5.   愛護動物の身体に支障をきたす又はその恐れのある環境で飼養すること。

6.   愛護動物の精神に支障をきたす又はその恐れのある環境で飼養すること。

7.   愛護動物の生態・習性などに不適切な方法又は環境で飼養すること。

8.   愛護動物の母体に過度な負担をかけ、年に1回以上又は未熟な個体に繁殖させること。

9.   愛護動物を保護する責任のある者が遺棄し、又はその生存に必要な保護をしないこと。

10. 愛護動物に不必要な暴力をふるい、又は不必要な行為により恐怖を与えること。

11. その他、愛護動物の生命及び身心に支障をきたす又は恐れのある行為で不要な苦痛を与えること。

「動物の愛護及び管理に関する法律」の第六章、「罰則」第四十四条の中の「みだりに」の表現を削除すべきである。

虐待の予防及び早期発見のために、行政には「立入の権利と義務」の規制を設け、警察や検察も含めた体制を早急に作る必要がある。

各自治体の警察や動物愛護行政担当者の対応が地域によって温度差が出ないよう、警察及び、愛護センター職員を含む動物愛護行政担当者の意識を高める必要があり、環境省を中心とした定期的な研修制度を設ける必要がある。

少なくとも動物福祉の基本である「5つの自由」1.飢えと渇きからの自由、2.不快からの自由、3.痛み・傷害・病気からの自由、4.恐怖や抑圧からの自由、5.正常な行動を表現する自由、を制限する行為が虐待の定義の基準になる事を周知徹底してする必要がある。

飼い猫が産んだ子猫を繰り返し遺棄する飼い主は、犯罪の認識が薄く、また遺棄を見つけた者が警察に通報せず、すぐに保護するケースが多い為に、犯罪防止・解決に繋がりにくい事から、環境省で作成している「動物の遺棄・虐待は犯罪です」のポスターに、動物の遺棄・虐待を見かけたら、すぐに警察に通報する旨を明記すべきである。

 (3)闘犬等(P.2)

闘犬・闘牛・闘鶏は禁止とすべきである。

闘わせる為の訓練をし、凶暴性を煽り、怪我を負わせ、死亡させる事は虐待行為である事から、禁止とすべきである。

伝統行事のみ許可とし、開催者の動物取扱業の登録を義務づけ、動物に苦痛を与えない・怪我を負わせない儀式的な内容に変える。

行事は毎回行政の許可を必要とし、動物取扱業登録者がいない場合は、行事開催を許可しない規定を設ける。

行事開催場所には、獣医師と動物愛護行政担当者もしくは動物愛護推進委員の配置を義務づける。

一般に公開されない闘犬や闘鶏については、賭博の違反行為をともなっている場合があり、警察による抜き打ちの立入り調査を強化すべきである。

.多頭飼育の適正化(P.2)

鳴き声や悪臭等で周辺住民が困っている、もしくは飼育環境・飼育方法が虐待の定義にあたると通報しても、行政や警察が何の措置もしない現場が多く見られる。逆に指導・改善命令に応じない所有者も多い事から、多頭飼育崩壊の未然防止及び、生活環境と飼育環境の改善を目的として、勧告や措置命令を迅速に発動しやすくする為の多頭飼育の規制が必要である。

動物愛護法第25条の中に下記を追加する。

1.   動物の福祉(5つの自由)が損なわれ、虐待の定義にあてはまる場合。

2.   虐待の生じる恐れがあると認められるとき。

3.   発生の防止の為。

行政が劣悪な多頭飼育の改善指導をする場合、改善指導回数が2回を越えてもなお改善されないときは、故意の飼育怠慢(虐待)とみなし、行政は所有者を告発すべきである。

衰弱、死亡が発見された場合には、2回の改善指導を待たず、行政は所有者を速やかに告発すべきである。

勧告や措置命令に従わない多頭飼育に対しては、飼育能力がないとみなし、行政は動物の一時保護をしなければならないと、法の改正をすべきである。

.自治体等の収容施設(P.3)

自治体の収容施設は、狂犬病や野犬が多かった時代に、被害を防止するために犬を捕獲し、抑留及び殺処分する事を目的に作られたもので、その必要性がなくなった現在も、狂犬病予防法により殺処分を行う事は、動物愛護法に反するものであり禁止すべきである。

狂犬病予防接種を受けている犬を狂犬病予防法により殺処分する事は違法である。

狂犬病の予防接種は所有者の義務であり、処罰されるのは動物ではなく所有者である。

環境省は、基本計画として平成29年までに引き取り数の半減及び殺処分の減少計画を打ち出している事からも、愛護センターなどの収容施設は、犬猫の保護ならびに譲渡を目的とした施設に変えるべきである。

収容施設の施設及び管理に関する運営基準を設け、寒暖対策・給餌・医療・衛生管理など、施設によって格差が生じないよう改善すべきである

殺処分問題を、より多くの国民に知ってもらうため、施設内は全て公開すべきである。

35条の「引き取らなければならない」を「正当な理由が認められた場合のみ、引き取ることが出来る」に変え、引き取りを求められても、終生飼養が可能であるとみなされる場合、里親探しの努力をしていない場合には、引き取りを拒否すべきである。

遺棄の恐れがある場合は、動物愛護指導センターや動物愛護推進委員などが指導にあたり、責任をもって里親探しの義務を果たさせるべきである。

35条第2項を「所有者の判明しない犬又は猫の引き取りを拾得者その他の者から駆除目的で引き取りを求められた場合は引き取りしてはならない」と改正すべきである。

安易な持ち込みと引き取りを防止するために下記を追加すべきである。

1.   身分証明書の提出と本人確認を義務づける。

2.   正当な理由の細かい項目の聴取を行う。

3.   上記を元に持ち込みリストを作成し、全国の愛護センターなどの収容施設でオンライン化し、2回以上のリピーターに対しては悪質な遺棄とみなし虐待の罰則を適用する。

35条に「所有者の判明しない犬又はねこ」は、都道府県等及び警察署で、最低2週間保管する事を明記すべきである。

遺失動物は、遺失物法で少なくとも2週間は所有者を探す義務があり、行政が遺失物法に違反する事は許されない。

幼齢の犬猫は飼育が困難なため、動物愛護推進委員や愛護団体・ボランティアとの連携を図り、生かす努力をすべきである。

回収車での引取りを全面廃止にすべきである。

行政での引き取りは、やむを得ない理由の場合に限るものであり、動物の命をゴミのように回収してまわる事は、虐待であり許される事ではない。

安易な引き取りは、行政自ら殺処分される犬猫を増やしている事を認識すべきである。

やむを得えない理由で殺処分しなければならない場合は、現行の二酸化炭素での方法から、麻酔薬投与に切り替え、苦痛のない方法をとるべきである。

麻酔薬投与に切り替えると同時に、焼却場までの道のりで殺処分を行う、移動殺処分機を全面廃止にすべきである。

周辺住民への配慮という理由で、移動殺処分の車両を導入する自治体は、殺処分ありきの考えである事の象徴である。

譲渡を目的とした施設に変える事で、周辺住民への問題は解決されるはずであり、車両を購入するための高額な税金は、動物を生かすために使用すべきである。

安易な持ち込みをなくすためには、持ち込みした者を立ち会わせ、最後まで見届けさせる事も必要な措置と考える。

繁殖業者・販売業者などの動物取扱業者からの殺処分の持ち込みを禁止すべきである。

乱繁殖や倒産、繁殖を終えたから不用、身体に障害があるので売れない、売れ残ったなどの無責任な理由で、終生飼育又は里親を探す努力もせず殺処分に持ち込む事は、悪質な遺棄とみなし、厳しく処罰すべきである。

「第4章、都道府県等の措置」に譲渡事業の義務化を追加する。

「犬及びねこの引き取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」の第3の3に「飼育を希望する者を募集する等により、できるだけ生存の機会を与えるように努めること」と明記されているが、実際には譲渡活動を行わず持ち込まれた当日〜4日程度で殺処分する自治体が多く、これは職務怠慢と言わざるをえない。

また、第3の4では「募集は、近隣の都道府県知事等との連携を図りつつ、できる限り広範囲に努めること」と明記しているが、実際には他府県の住民からの里親申し出を認めていない自治体が多く、他府県からの申し出であっても慎重な審査を行うなどして、生かす努力をすべきである。

 .特定動物(P.3)

逸走及び遺棄した場合、野生動物の生態系に悪影響を及ぼす恐れがあり、災害時には同伴して避難する事は困難である事から、的確な飼育管理ができる者だけが飼育するべきものであり、「特定動物の飼育者は、災害時においても適切な飼育管理を継続する事ができなければならない」と定義する事に賛成である。

特定動物であっても、それぞれの生態・習性に応じた環境での飼育ができなければ、虐待の定義にあたる事から、動物福祉に基づいた適性飼養を法で義務づけるべきである。

特定動物が逸走した場合の問題が大きい事から、移送の通知を緩和すべきでない。

また、個体認識措置がなされていない特定動物は、移送・搬送を禁止すべきである。

特定動物を保護した場合、引き受け先がなく殺処分される事が多い。

また、特定動物を取り扱った動物園・牧場などと称す私営の施設が閉鎖された場合、放置による餓死・遺棄・殺処分の恐れがある為、専門家と連携した行政の立入り調査・指導を義務づけるべきである。

.実験動物の取扱(P.4

実験動物施設・機関及び、実験動物生産販売者も動物取扱業に加えるべきである。

実験動物を行っている施設は全て、登録制とするべきである。

3R(苦痛の軽減、数の削減、代替法の推進)の徹底をするべきである。

41条第1項の代替法の促進、使用数の削減は、「配慮するものとする」ではなく、義務化すべきである。

2010OIEでは畜産農業、実験動物を含む動物福祉に関する綱領が制定されたことからも、法と基準の改正をすべきである。

研究機関等による自主完治体制をとっているのは、先進諸国でも日本だけであり、現在の体制で不適切な事例や問題点がないかの判断はできない為、一般国民を含めた第三者評価機関の検証が必要である。

動物の苦痛のレベルについては、国際的な合意があるべきである。

また、厳しい規制を避ける為に、動物実験を他国に依頼する事を禁止すべきである。

真に必要な動物実験のみ3Rのもと許されるべきであり、代替法により可能な限り実験動物を削減する事は国際的な流れにもなっていることから、「実験動物の飼育及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」の第3共通基準の7、実験施設廃止時の取扱は、「その有効利用を図るために、飼育又は保管をしている実験動物を他の施設へ譲り渡すよう努めること」を、「飼育又は保管をしている実験動物を、責任をもって愛護動物として終生飼育できる譲渡先に渡す事」に改正すべきである。

また、「犬及びねこの引き取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」の第4の保管動物の処分「教育、試験研究用若しくは生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供する者への譲渡」は削除すべきである。

 .産業動物の取扱い(P.5)

5つの自由」を、産業動物に限定せずに動物全体に対する理念として動物愛護管理法に明記することが望ましいに賛成である。

産業動物の福祉を向上させ、快適性に配慮した飼養管理は、健康で安全な家畜を育てるという事に繋がる。

産業動物取扱業者および産業動物生産業者を、動物取扱業の登録対象にすべきである。

産業動物や実験動物について国際的なガイドラインの動向も勘案していくべきとの意見に賛成である。

.罰則の強化(P.5)

強化すべきである。

現行の罰則では、犯罪の抑止にはならない。

また、複数の動物に対して繰り返し行われる残虐な犯行や、毒を撒くなどの無差別な犯行などに対する処罰も軽い事から、動物に対する虐待が減少しない。

懲役1年以上3年以下、罰金300万円以上500万円以下の罰金

(法人の場合は1,000万円以上5,000万円以下)とすべきである。

罰金の表示は必ず最低ラインがはっきりとわかるように表記すべきである。

現規定の「○○万円以下」の様な取り決めでは、上限がどれだけ高くても、時には下限の1万円の罰金で終わってしまう可能性もある。

これでは虐待の抑止にはならないので、上限・下限とも大幅に引き上げ、下限額も表記する方法に変更すべきである。

衰弱させる、病気や怪我の治療もせず放置する、遺棄なども、命にかかわる事であるため、殺害や傷害と同様、厳重に処罰すべきである。

動物取扱業者に関しては、悪質な違法行為が多い事からも、個人よりも懲役及び罰金を大幅に引き上げ、社会的責任を負わせるために、罰則の強化が必要である。

また、動物取扱業者が違法行為を行い、行政処分を受けた時は、違法行為の内容と行政処分の結果を、行政機関が正式に公表すべきである。

動物を取り扱う専門家であるべき動物取扱業者の虐待行為は、業務上虐待罪として厳しい処罰が必要である。

 .その他(P.6)

(1)犬のマイクロチップの義務化(P.6)

現段階では、マイクロチップを読み取る為のリーダーの普及率や、メーカー別にリーダーが必要となる等、互換性の問題等もあり、一般家庭への義務化には時期が早いと思われるので、まずは狂犬病予防法における犬の登録の整合性をはかる事、リーダーの普及率をあげ、マイクロチップの小型化・GPS機能の付加、リーダーの互換性等のシステム面の向上を図り、普及率をあげる取り組みが重要である。

繁殖業者やペットショップ、インターネット販売業者等の動物取扱業者が所有している犬猫には、マイクロチップの装着を義務づける。

取扱業者が所有している時点でマイクロチップを装着する事により、繁殖・販売された犬猫についての遺伝疾患等の問題が判明した場合の、追跡調査が可能となる。

また、繁殖業者・販売業者の崩壊や、繁殖を終えた犬猫・売れ残りとなった犬猫などを、終生飼育又は里親を探す事もせずに、大量に遺棄する、餓死させる又は殺処分に持ち込むなどの無責任な行動が問題になっている事からも、マイクロチップの装着を義務づける事は、取扱業者に対する規制の方法として検討すべきである。

 (2)犬猫の不妊去勢の義務化(P.6)

屋外飼育及び屋外へ出ることができる環境で飼育している犬猫は、不妊去勢手術を義務化すべきである。

ねこの飼育に関する法規制として「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」の第5、「ねこの飼養及び保管に関する基準」の中で、室内飼養の努力義務や、屋外飼養の場合は原則繁殖制限措置を講じるよう定められているが、殺処分・遺棄・飼い主のいない猫の数が減少しない。

犬の飼育に関しては、同基準の第4、「犬の飼育及び保管に関する基準」の中で、犬の放し飼いを行わないことや、屋外で運動させる場合には犬を制御できる者が原則引き運動により行うことと定めているが、地域によっては、避妊去勢していない犬を放し飼いにしているケースも多く、飼い犬が産んだ子犬を殺処分に持ち込んだり、遺棄するケースが多くみられる。

飼い主は産まれた子供に対しても、終生飼育又は責任ある里親探しが義務であり、それが不可能な場合は、完全室内飼育・屋外飼育に関わらず、不妊去勢措置の義務が生じてくる事から、飼い犬・飼い猫の子供を殺処分に持ち込んだ場合には、何らかのペナルティーを課すべきであり、親犬・親猫の不妊去勢の勧告と、後日の追跡調査が必要である。

不妊去勢のメリットとして子宮の病気・乳がんの予防、前立腺の病気、精巣・肛門周辺の腫瘍などの病気予防、マーキングやケンカの軽減、発情期特有の鳴き声や行動がなくなる反面、全身麻酔のリスク、疾患や障害を持つ場合には手術が困難なケースもある事などから、事前の健康診断や獣医師との相談が必要である事も周知徹底させる必要がある。

行政は、獣医師会・民間ボランティアなどの協力を仰ぎ、無責任な繁殖で犠牲になる犬猫の現状や、適正な飼育方法の細目、飼い主の責務など、国民への啓蒙活動に努めると同時に、動物愛護に関心をもってもらう努力をすべきである。

 (3)飼い主のいない猫の繁殖制限(P.6)

殺処分される犬猫の半数以上は、飼い主のいない猫が産んだ子猫である事からも、繁殖制限は重要な課題であり、早急に進めるべきである。

飼い主のいない猫の繁殖を減らす為には、不妊去勢手術が不可欠であるが、費用負担の問題は大きく、助成金制度が充実していない市区町村が多い事から、殺処分の予算を助成金にあてるべきである。

飼い主のいない猫が、虐待のターゲットになる事が多い。

また、毛皮や実験動物のために捕獲されたり、糞尿や発情期のケンカや鳴き声、餌やり等で地域住民の苦情となり、自治体が駆除目的に捕獲し殺処分に持ち込もうとするケースもある事から、犯罪の被害と殺処分から守る為にも、不妊去勢を進めると同時に、地域住民任せにするのではなく、行政担当者が中心となり、動物愛護推進委員、警察、地域住民が協力して対策を構築すべきである。

河川敷や公園などの、行政が管理する土地へ犬猫を遺棄するケースが多い事から、行政による対策を強化すべきである。

現状の把握・不妊去勢の為の捕獲・手術の費用・保護や里親探し・医療など、ボランティアが自主的に行っている現状を、行政が中心となり、周辺住民やボランティアなどの協力のもとに行う仕組みに変えるべきである。

行政が管理する土地内の飼い主のいない猫の不妊去勢費用・医療費などについては、獣医師会へ費用軽減の働きかけをするなどして、行政が全額負担すべきである。

また、保護や里親探し、餌場のルール、遺棄・虐待の取締り等も、市町村と周辺住民・ボランティアや警察が協力して行えるよう、積極的な話し合いの場を設ける必要がある。

(4)学校飼育動物および公園飼育動物の適正飼育(P.7)

道徳教育などを目的に、学校での動物飼育を推奨しているが、現実には適正な飼育管理ができていないケースが多く、給餌や給水の不足、不衛生、夏・冬の厳しい小屋の中での飼育、病傷を放置し死亡させる等、命の大切さや人と動物の絆を子供達に教えるような状況とは言えない。

また、一部の飼育係りの生徒だけが世話にあたるのでは、行き届いた教育とは言えず、

命の大切さなどを教える道徳教育が必要ならば、生徒全員に動物愛護に関わるボランティアに参加させる、愛護センターでの講習を授業に取り入れるなど、他の方法で行う事は可能である。

また、外部の人間による虐待・殺害事件も多い事から、学校での動物飼育は原則として禁止すべきである。

特別な事情で飼育を希望する学校は、責任者に動物取扱業の登録を義務化すべきである。愛護センター職員又は動物愛護推進員が定期的に視察と指導にあたり(場合によっては獣医師会の協力も必要)適切な飼育を行っていない場合は改善命令、その後もなお改善されない場合は、飼育禁止とすべきである。

動物取扱業の展示業に該当するものについては、料金徴収の有無に関わらず動物取扱業の登録対象であり、その徹底を図るべきであるに賛成である。

(5)災害対応(P.7)

動物愛護管理法の条文に、災害時の動物救護対策を明記すべきである。

各都道府県によって動物救護に温度差が生じぬよう、飼育・家畜動物に限らず、全ての動物に対し、迅速かつ適切な救護・避難が行える対策を構築すべきである。
避難所における飼育体制の整備(動物同伴可能な避難所及び仮設住宅の確保の事前計画)、動物の救護(負傷又は放し飼い状態の動物の保護と収容)、シェルター設営や一時預かり先の確保、迷子動物の捜査等動物飼養者への支援は、自治体の地域防災計画の中に入れるよう義務づけるべきである。

東日本大震災において、避難バスや避難所に愛護動物の同伴が許可されず、結果、多くの尊い命が失われた事は人災であると言える

愛護動物同伴可能な避難所や、救護に必要な設備・物資の備蓄などは、民間団体・獣医師会・ボランティア等との連携が必要であり、迅速かつ適切な救援体制がとれるような仕組みを事前に準備しておく必要がある為、早急に条文に明記すべきである。

都道府県の自治体に、災害時の愛護動物と同伴避難のマニュアルの冊子作成と配布を義務づけるべきである。

必ずしも動物が好きな人ばかりではなく、避難所に動物がいる事を快く思わない人もいるので、事前の情報と理解を得る努力をする必要がある。

動物取扱業者は、販売時に災害時の避難や準備について説明すべきに賛成である。

各自治体で愛護動物の同伴避難が認められている場合でも、動物の種類が限られている事からも、販売時の事前の説明は必要である。

緊急災害時動物救護本部の規定と対策を条文に明記し、迅速かつ的確な救護と支援に従事するよう徹底させるべきである。

緊急災害時動物救援本部の主な活動内容として、1.被災動物の救護等の為の人材派遣・物資提供・資金供与、2.救護活動を円滑に実施する為、政府・都道府県等の関係行政機関と連携、3.緊急災害発生時の効率的な救護活動のための予防措置となっているが、東日本大震災においてその役割を果たしていなかった事が問題となっている。

国民から迅速に送られた多額の義援金は、被災動物の救護や人材派遣に使われず長期間プールされたままの状態、負傷動物の医療費に使われている形跡がない、数多くの被災動物を保護しているボランティアに交付されない等の疑問に、早くから返金を要求する声が多くあがった。

また、緊急災害時動物本部の要請で、一般社団法人ペット−フード協会が、犬・猫・ウサギのペットフード(約13,000頭の1年間分の給与量)トイレシーツ・ケージなど、定期的に被災地へ送っているにも関わらず、各自治体の担当課・物資の引き受け先がその情報を公開していない為、被災者や現地で保護活動にあたっているボランティアは、一般に支援を募っているのが現状である。

災害時の救護・救援は、善意や自主性に頼るものではなく、国や行政が主体となって行うべきものであり、動物愛護法の条文に明記すべきである。

 (6)実施体制への配慮(P.7)

動物愛護の規制の強化と充実を図るためには、財政措置や人員の確保は必要である。

自治体の収容施設の動物の世話(団体シェルターや自宅での一時預りを含む)や譲渡業務などは、愛護団体やボランティアとの連携を図る事が必要不可欠である。

収容施設内での動物の世話に関しては、民間企業への委託も視野にいれる必要がある。

収容施設での引き取り手数料を大幅に引き上げる。

飼い主への返還と譲渡に関わる手数料も引き上げ、収容にかかわる費用にあてる。

動物愛護基金を設け、民間企業や一般から寄附金を募り、収容にかかわる費用にあてる。

また、ペットフードやペット用品の価格に寄附金を上乗せし、動物愛護基金にあてる事もひとつの方法である。

動物愛護法に違反した際の罰金を、動物愛護にかかわる業務に活用する。

現在、動物愛護推進員の委託と、動物愛護推進員の活動に対する支援などを協議する協議会の組織は、各都道府県において任意とされているが、双方とも義務化し、動物愛護推進員を増員する。

その他、愛護法に関する意見

毛皮・ダウン等、生きたまま動物の皮を剥ぐ・羽根を毟り取る等の行為は明らかに虐待であり禁止すべきである。

防寒の為の代替商品はいくらでもあり、ファッション・アクセサリーのために、動物に苦痛を与える産業は廃止すべきである。

犬・猫・動物のテーマパークや、猫の博物館、猫カフェやうさぎカフェなどの愛護動物の飼育・展示を行っている業種(個人の場合も含む)は、行政への頭数の登録、繁殖の制限、人員・飼育・医療・環境整備が適切に行われているかを、定期的に立入り調査するなど、何らかの規定を設けるべきである。

動物取扱業の規制について

動物販売業者・繁殖業者に対し、営業保証金制度を導入すべきである。

乱繁殖や経営不振・破綻などで、給餌・給水を怠り衰弱や死亡させ、病気や怪我の治療もせず放置したり、遺棄や殺処分などの動物虐待が多い事から、命を扱う事の重大さを考えない安易な繁殖・販売をやめさせるために必要な措置である。

繁殖業者にライセンス制度を導入すべきである。

血統による遺伝病や先天性疾患など何も知らない者が、特に人気のある種の犬猫を乱繁殖し、苦しむ犬猫を増やしている。

専門的知識を持たなくても、簡単に繁殖業につけるシステムが大きな問題であるため、

ライセンス制度の導入・繁殖の制限措置・親から引き離す日齢の制限・繁殖業者

が所有している時点でのマイクロチップの義務化は、動物の福祉を守る為に必要な措置である

また、繁殖用の犬猫・売れ残った犬猫の終生飼育を義務化し、終生飼育ができる年齢を考え、60歳以上の者にはライセンスを与えない年齢制限を設けるべきである。

遺伝病や先天性疾患などの危険性が高い種の犬猫の繁殖の規制を設けるべきである。

猫でいえば、イギリスはスコティッシュフォールドやマンチカンは、奇形種として繁殖を禁止している。

アメリカではスコティッシュフォールドの交配は、アメリカンショートヘアー、ブリティッシュショートヘアーのみ許可されている。

スコティッシュに多くみられる遺伝性骨形成異常症(骨瘤)は、たれ耳同士での交配に限らず、たち耳と交配させても発症する。

骨や軟骨が成長する成長期に発症する場合が多いが、成猫になってから発症するケースも見られ、生涯にわたり進行する危険がある病気で、発症した場合は予後不良、重度の骨の変形と激痛で歩けなくなる事もあるが、鎮静剤で痛みを軽減するしか方法がない。

また、交配させたアメリカンショートヘアーやブリティッシュショートヘアーの遺伝病と言われる肥大型心筋症を発症したり、突然心臓が止まり死亡するケース、発育不良による臓器機能の低下などもみられる事から、規制の必要があるにも関わらず、繁殖業者の自主性に任せているのが現状である。

繁殖業の自主規制やモラルに任せていては、乱繁殖はなくならず生涯苦しむ犬猫を多く生むばかりでなく、高額な医療費に加え、愛護動物が苦しむ姿を見ながらの介護は、飼い主にとっても精神的ダメージが大きく、遺伝病や先天性疾患を発症する危険の高い血統については、種別の細目を設けるべきである。

獣医師の資格がない繁殖業者が、繁殖回数を増やすために、麻酔もせず帝王切開を行い愛護動物に苦痛を与え体に傷を負わせる行為は、あきらかに違法行為であり虐待であることから、厳しく処罰すべきである。

生後8週齢まで、親・兄弟から引き離さないと法で規定すべきである。

母体抗体のある時期のワクチン接種は、接種しても無効であり、生後45日齢でワクチン接種を行っても、10日から14日の定着期間を考えれば、55日から60日齢となる。

定着前に無理に親元から引き離し、販売業者に引き渡せば、感染症及び集団感染の危険から守る事はできない。

諸外国でも、犬猫の社会性や健康面から生後8週齢を基準に規制している。

前回のパブリックコメント「動物取り扱業の適正化(案)」においても、8週齢の規制を求める意見が一番多かったにもかかわらず、オークション市場の動物取扱業への追加などとともに、法律施行令の一部を改正する法令案等の概要の案件にならなかった事自体が疑問である。

動物愛護法とは、経費が増える、売れ残りが増えるなどの生産者側の意見と利益を守るものではなく、真に動物の福祉を守るための法であるべきである

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